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Japan Subculture Research article August 8, 2013

 

日本も共同親権を認める方向へ。わが子との再会を希望する父は今……

http://www.japansubculture.com/as-japan-moves-toward-recognizing-joint-custody-a-father-nourishes-hope-for-reunion

Nathalie-Kyoko Stucky 木曜日 8月8日2013

original in English

 

翻訳者:赤坂桃子

 

日本では離婚した両親をもつ数百万人の子どもが、一方の親に会えないまま成長している。この国にはまだ共同親権の制度が導入されていないのだ。

 

しかし今年の5月、日本の国会は、30年にわたる諸外国からの圧力に動かされた形で、ついに「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)

の加盟案を承認した。日本では、国内の手続きが整い次第、20143月にも条約の実施が可能になる。この条約が施行されれば、子どもが家庭内暴力を含む重大な危険性に直面するおそれがない場合、子を連れ去られた親には、連れ戻しを要求する法的枠組みが確保されることとなる。日本では家庭内暴力は警察が対応することになっており、主張の信憑性を判断するのも警察である。現時点では、単独親権をもつ親が、子どもがもう一方の親と会うことに同意した場合でも、月に1回程度の訪問が許されるにすぎない。

 

伝えられるところでは、国際結婚が破綻した場合、日本の裁判所は外国人の親(特に父親)に対して親権を与えることは皆無に等しい。その一方で、外国人の母親が日本人の元配偶者に対抗するために日本の家族法を利用するケースも時にはある。

 

2009711日、田島清司さん(62)の娘珠美さんが、ロシア人の母親により居住地の広島から連れ去られた。珠美さんは現在も日本に住んでいるが、離婚後に親権を与えられなかった父親には、彼女の居場所がわからない。

 

日本では、離婚した親のうち年間15万人近くが子どもと連絡できない状態におちいっている。こうした親たちのほとんどは、法律に従うしか方法がなく、対抗手段をもたない。

 

親子の権利の擁護に力を注いでいる弁護士であり、中央大学法科大学院教授でもある棚瀬孝雄さんの指摘によれば、日本でももちろん子どもの連れ去りは犯罪だとする刑法の条項はある。日本国内で発生した連れ去りの事例もよく知られている。しかし初回の連れ去りは、犯罪とみなされないのが通例だ。「両親が対立した場合、日本の家庭裁判所は、いったん事実上の監護者を指名します。取り残されたもう一方の日本人の父親または母親が、監護権をもつ親から子どもを連れ戻そうとすると、警察に逮捕されることがあります」と、棚瀬さんはウェブメディアのThe Daily Beastに語っている。

 

ハーグ条約に加盟しても、離婚した日本の夫婦にただちに影響がおよぶことはないかもしれない。だが、日本の社会と家族法は大きく変わっていくだろう。日本の国会議員によれば、ハーグ条約が批准されるとなれば、整合性をとるために国内法の見直しが必要となる。国会は20143月までに国内法を変えようとしている。

 

本年初頭に行われた国会のハーグ条約に関する勉強会で、みんなの党の椎名毅衆議院議員(37)は、ハーグ条約加盟に賛成すると述べている。だが、こうも付け加えている。「でも、頭の固い議員を説得するのは、むずかしいかもしれません。彼らはこれを“文化摩擦”の問題ととらえていますから。“世界の中の日本”という視点に立てない人は、日本がハーグ条約に加盟することに難色を示すでしょう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絆・チャイルド・ペアレント・リユニオンのジョン・ゴメス代表は、精力的に国会に通って会合などに出席している。

 

 

「文化の違い」なのか?

 

日本にはまだ共同親権の制度が導入されていない。子を「手放す」という考え方が、日本社会ではいまだにまかり通っている面がある。そうした考え方を正当化する根拠は、かならずしも明らかではない。民法第766条には、「協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、家庭裁判所が定める」と、明記されている。しかも家庭裁判所は、「最初に

子どもを連れ去った親の方に監護権を与えている。

 

「日本では、子どもは親の別居や離婚によってそれほどストレスをうけないと考えられているようですが、実際には、子どもはどちらか一方の親との面会を断られることにより、非常に大きなストレスを経験します。それは、片方の親を締め出して、“これでおちついた環境になった”と言い聞かせても、埋め合わせがつかないほどのストレスです」と、最近設立されたNPO法人、絆・チャイルド・ペアレント・リユニオンのジョン・ゴメス代表は語っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

田島 清司 さん(62)。娘の珠美さんは現在も日本のどこかに住んでいる。

 

 

日本国内の関連法が実際にきちんと改正されるまで、Japan Subculture Research Centerは毎年1回、珠美 さんが連れ去られた日に彼女の話題を投稿する予定だ。そうすれば、将来珠美 さんが別離を強いられた日本人の父を探し出そうとしたときに、自分の名前をGoogleで検索できるだろう。

 

わたしたちは、田島 清司 さんと連れ去られた娘さんが絆を回復するチャンスを、こういう形で提供できればと願っている。

 

くわしい情報や支援に関する問い合わせは、東京に本拠地を置くNGO、絆・チャイルド・ペアレント・リユニオン(Kizuna CPR)まで。オフィスは、国家議事堂や米国大使館の至近にある。

 

Kizuna CRPは日本に共同親権制度を導入する活動をつづけるため、資金の寄付を募っている。興味のある方は、このビデオとホームページを是非ご覧いただきたい。

 

絆・チャイルド・ペアレント・リユニオンは、特定非営利活動法人(NPO法人)として認定を受けたばかりだ。日本を含む世界各国の政府と協力し、外交的な方法も駆使して、文化の隔てを越え、子どもたちを親と再会させるための建設的な支援を行っている。国際的な活動と日本国内の活動とをつなぎ、政府官僚と子どもの双方の親たちがそれぞれの違いを越えて理解しあい、子どもと親との再会が実現するようにと尽力している。両親の話し合いにより、子供たちが親との絆を回復できた成功例もすでにいくつかあるという。

 

日本のハーグ条約加盟の道筋がようやく見えてきた今、ジョン・ゴメスさんが日本と米国で行ってきた数多くの努力が実を結ぶ日も近いかもしれない。

 

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